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El Mundo

世界88カ国に訪れた備忘録。

【ドミニカ共和国】 サントドミンゴのSCで感じた「ドミニカ社会の格差」

R.Dominicana 世界の街情報 世界の島

サントドミンゴのショッピングセンターで感じたドミニカ社会の格差について書き記しました。リアルタイムの現状です。

2015年1月 1DOP=約2.6円

 

◆はじめに

 

僕は訪れた国や都市のショッピングセンターに行くのが好きだ。
その国の「富裕層」の雰囲気も見れるし、現地人のトレンドや過ごし方を見るのが楽しい。
サントドミンゴにも当然SCがある、いくつかあるのだがその中でも一番規模が大きいと言われている「アゴラモール」へ向かった。

 

◆アゴラモール

 

アゴラモールはサントドミンゴ地下鉄2号線の「Pedro Mir」駅が最寄りとなる。
グアグアならパルケ・エンリキージョから27BがSC前を通過する。地下鉄は一律35ペソ。グアグアは25ペソだ。

 

 

アゴラモール、サントドミンゴのSCにしては広いし、色々なものが入っている。
訪れたのは土曜日、家族連れの姿というよりかは個人のお客さんが多い。行ったのが11時頃と早かったことがあるかもしれないが。

 

 

土曜日のため銀行がかなり混んでる。どこも長蛇の列、開発途上国でよく見かける姿だ。
日本とは違って機械が全てやってくれるわけではないので、口座のことや振り込みや送金など人を介して必要なことが多い。
1,000ペソを細かく両替してもらいたいので、銀行に用があったのだが、この調子だと両替だけで1時間以上かかってしまう。
しかし、「Banco BDI」は中が空いている上、両替カウンターもありそうだったので、突撃。

 

 

「1,000ペソ細かくしてくれますか?」と聞くと「si」という返事が。ピン札の上、色んなお札を混ぜてくれて細かくしてくれたので、かなり助かった。
海外のATMで現地通貨を引き出すと、大きなお札が出てくることがある。日本では考えられないことだけど、大きいお札だと「おつりがない」と言われることが、よくあるのでなるべく細かなお金を持つように心がけている。
両替所はあれば話は早いけど、どこにでもあるものではないので、そういう時に活躍するのが現地の銀行だ。たまに断れることあるけど、お金を扱う窓口に行けば、ほぼ両替してくれるので、かなり助かっている。おまけにピン札でくれることあるし。
ボリビアやペルー、オマーンなどの国では必ずやってくれた。もし高額紙幣を掴まされても、銀行に行って両替をしよう。

 

 

話をSCに戻すと、アゴラモールの1階では「ハンドメイド展」というものが行われていた。
各々が自分の手で作った作品や食材などが出店されており、訪れた客が各ブースをのぞいていた。

ハンドメイド展でも感じ、SCのお店でも感じたことなのだが「オーガニック」の表示が多いことだ。

 


オーガニック商品を扱ったお店、レストラン。このハンドメイド展でも綺麗な野菜や、自分で作ったと思われるソースなどがあった。
健康志向に目覚めたのだろうか、それともアメリカの影響があるのか―。どちらにしても、関係があるのはアゴラモールに来れる中間層以上の話である。
顔ぶれを見ると、白人や混血(ムラート)が多くて、アフリカ系の姿はあまり見ることがない。正直予想していた光景ではある。

 

 

レストランなどもあるのだが、ドミニカでは外食はバカバカ高いので、入ることはなかった。
消費税が16%の上、その上サービス税やチップなど含めると、30%ぐらい持っていかれてしまうのだ。値段は日本と変わらないか、それ以上。
なのでレストランで食事をしている人を見ると「金持ってるな、凄い」と感心してしまうぐらい。
現地民向けの食堂(あまりないけど)に行けば、税金など関係なく食べられるので、有難い存在だ。お客はアフリカ系かムラート、白人系は見ることがない。
ドミニカ自体外食する国ではないので、そこまで多くはないけど。

 


テナントを見ると、欧米資本の服とかの店が多い。これも予想通りだ。特に驚きもなく、「見慣れた」店を見て回っていく。
ラテンアメリカのSCぽいな」と感じたのは、百貨店が入っていることだ。チリでよく見かけた、プエルトリコでも同じような雰囲気。
アメリカ系の百貨店ではなく、地元資本(もしくは南米資本)であることが多い。

 

 

一番上の階では富裕層の娯楽「シネマ・コンプレックス」が入っている。
大きなショッピングセンターには必ず映画館がある、今トレンドの映画とポップコーンなどの食べ物。アメリカスタイル。これが大事だ。
驚いたのは映画が夕方から始まること、昼間はお休みなのだ。ドミニカ共和国ならでは、ということだろうか。

 

 

サントドミンゴでよく見かけた看板。映画の宣伝だ。ドミニカの映画ぽい。調べてみるとコメディ映画のようだ。
めちゃくちゃ宣伝しているので、かなり気になったけど、夜から放映されるということで、断念した。動画サイトにupされたら見てみようかと思うぐらい。
そう考えると宣伝は効果がかなりある。

 

 

最上階にはお決まりの「フードコート」がある。レストランに比べて値段はさほど高くはなく、手軽に訪れることができる場所。

アメリカ資本のファストフード店が入っており、大きな体をしたドミニカンがハンバーガーにかぶりついていたりする。

ここのフードコートはかなり多く、20店舗ぐらいは入っていたかと思う。中にはお決まりの中華もあったり、ドミニカ料理もあったりして手軽にドミニカ料理を食べるには丁度いいのかもしれない。

 

 

こちらドミニカ料理のお店。手っ取り早く食べるならいいかも。味は存じ上げない。

レストランよりかは手頃だ。

 

 

1Fにはスーパーマーケットの「JUMBO」が入っている。ドミニカでは「コルマード」と呼ばれる商店が発展しており、街中の至るところで見かけることができる。
そこには飲み物や食べ物、生活雑貨などが販売され、夜になると外にテーブルとイスが並べられ、現地のドミニカ人がビールを飲む姿を見てとれる。
値段を確認したらスーパーもコルマードもそこまで差がないので、わざわざスーパーで買う必要はないことが分かった。飲み物を買うだけなら、コルマードで十分と言える。

 

こちらのジャンボ、ショッピングセンターの中にあるということもあり、お客さんの殆どが白人系。駐在やリゾートしている人を含めて、「ここはドミニカか?」と感じるぐらいの割合。
その点店員さんは混血のムラートか、アフリカ系であり、差を見せつけられたような感じである。
スーパーを見ると、その地域の特色がよく分かるので面白い。

 

 

ドミニカではフルーツがよく手に入ることができ、スーパーの前とかでは屋台売りが並んでいたりしている。
マンゴーやバナナ、パイナップルやオレンジというものはどこでも見かけることができ、かなり安価で販売している。
主食はコメと豆なので、そのコーナーには関連商品がずらり。トマトや玉ねぎを使った料理も多く、ジャガイモやプラタノも使うので、野菜コーナーには緑系よりかはこちらのほうが多い。
ドミニカの風土や気候的に葉物野菜は栽培が難しいので、手に入れるのは大変。ネギや白菜、ホウレンソウなどは中国系のスーパーに置いてあったりするのだが。
この国で一番食べられるのは、鶏肉。なので鶏肉はかなり安い。他にも山羊を食べるので、ヤギがショーケースに並んでいたりするのも面白い。


◆ドミニカ社会の姿

サントドミンゴの町にはいろんなタイプの車が走っている、人気はSUV

 

ドミニカ共和国の首都・サントドミンゴで滞在していて分かったことは、この国でも「貧富の差」が激しいということであった。
貧富の差がない国など殆ど存在しないのだが、視覚的に貧富の差が分かるのは「車」「家」「見た目」であろう。


ドミニカ共和国には3つの民族が存在しており、コロンブス到来から植民地として住み着いたスペイン系の先祖を持つ「白人系」。
先住民タイノ族をルーツに持ち、スペインやアフリカ系と血が混ざった「ムラート」、そして奴隷として連れてこられた「アフリカ系」である。
肌の色でまず分かるのだが、ドミニカではこの3つのDNAと文化が混ざっているので、他のラテンアメリカ諸国とは少し違う文化や慣習が残っている。

 

それは絵であったり、装飾品であったり、音楽であったり、人の雰囲気に表れており、「島」ということも影響しているのだろうが、中南米とは違った雰囲気でありとても面白い。


特に食べ物が特徴的であり、ドミニカの国民食である「サンコーチョ」は根菜類と肉、プラタノやトウモロコシなどの食材とハーブを煮込んだ料理だ。
根菜類はタイノ族の食文化、肉類はスペインの牧畜技術が持ってきたもの、そしてプラタノはアフリカの食文化と3つの文化が混ざるドミニカらしい料理と言えるのだ。

(『ドミニカ共和国を知るための60章』より一部引用)

 

↑街中で見かける看板、政治家やテレビなどの宣伝で登場するのは「白人系」ばかり。 

 

さて、ここまでドミニカ共和国のルーツを紹介した。3つの民族が混ざるドミニカだが、昔から優位に立っていた白人系は現在でも優位に立っている。
サントドミンゴを純粋に旅行する限り、SCなどに行かなければ白人系の姿は見ることはないだろう。旧市街やグアグア、地下鉄にいるのはアフリカ系やムラートの人たちだ。
白人系は家からSC、会社までを自家用車で移動する上、車にスモークガラスをするなど警戒しているので、顔を見ることが殆どない。リゾートにいる白人は観光客であるので、ドミニカ人ではないし。

 

↑バスの車掌、食堂の店員、売店のおっちゃん、タクシーの運転手。皆ムラートかアフリカ系。

 

そのためドミニカで僕が関わっていたのは、アフリカ系かムラートであったので、白人がどのようなものかイメージが湧かなかった。
それでSCでチェック、現地のおばちゃんなどは完全に「スペイン人」のような外見をしており、「どこに住んでいるんだ」と思うほど。おそらくアフリカ系とは隔てられた場所にいるのだろう。
現に郊外には、セキュリティチェックがある住宅地が形成されていたりする。

 

↑車社会のドミニカ、サントドミンゴの朝晩は必ず渋滞する

 

ショッピングセンターのあるエリアや外資系の大型店には車を持っている白人系は必ず訪れる。
ドミニカは車社会なので、車は生活必需品である。そのため家からドアtoドアで行けるSCや大型店には安全面も含めていくのだ。
旧市街にはアフリカ系やムラートが住んでおり、大型店などはない。上に記したコルマードと呼ばれる雑貨屋が生活の主役、ドミニカでは配達文化もあるので、電話一つでコーラ1本からバイクで家まで配達してくれるのだ。
なので小売業は重要な地位をドミニカでは占めている。

 

↑町のいたるところにあるコルマード、電話1本で配達可能だ。

 

独立小売業者の店舗約70万店は同国の小売店数の少なくとも70%を占めていて、低所得階層と高所得階層のそれぞれに利便性を提供。

低所得階層は車を保有していなく、冷蔵庫も家にない場合があるので、食料品のまとめ買いが出来ない。
なので、まとめ買いを想定した近代的大型小売店舗は低所得階層が圧倒的多数を占める地方には事業展開していない。
独立小売業者(コルマード)は地方で住宅近くの立地という利便性を提供することによって生き残る。
そして、都市部でも非常に忙しい生活を送る高所得階層向けに電話による注文や即座に受け取れる配達などの利便性を提供し一定の市場シェアを維持。
コルマードはドミニカ人の生活には欠かせない存在なのである。

(『ドミニカ共和国を知るための60章』より一部引用)

 

↑信号待ち中の物売り、大通りではよく見かける光景

 

さて、貧富の差に関してだが、ドミニカは国民の半数近くが貧困層に属している。
ドミニカでは富裕層は月収約1,200ドル、中間層は月収約600ドル、貧困層は月収約400ドル、極貧層は月収約180ドル以下となっている。
国家公務員の一般職の平均月収が約800ドル、教授や先生などは約650ドルと中間層ラインであり、富裕層はホンの一部しかいない。

 

↑パルケ・エンリキージョ周辺にはたまに浮浪者もいたりする。


とはいえ、ドミニカ人の生活は意外と安定しており、街中で悲壮感になっている人や、驚いたことに物乞いの姿を見かけることは殆どない。
これは他のラテンアメリカ諸国とは少し違う点であり、ゴミの汚さは変わらないし、運転マナーの荒さも同じだけど、物乞いが極端に少ないというのは、国民生活が一つ安定していることがあるのかもしれないといえる。

 

↑街中を走るカローラ、今でも現役。「動けばいい」という考え。

 

↑ドミニカの富裕層に人気なのはSUVタイプ。


なので「視覚的」に感じる貧富の差では「車」が分かりやすい例であり、道路を見ていると今にも廃車寸前の車から真新しいSUVが走っており、かなりの差を感じさせてくれる。
オンボロカローラなどの日本車は貧困層、10年ぐらい前に使われていたであろうアメリカからの中古車は中間層、真新しいSUV(ドミニカで人気)は富裕層という様子であろう。
中古車以下は日本車が多く、新車では韓国車が多かったので、少しやられている状況。特徴的だったのは、ドミニカの財閥であるコリピオが販売権を保有していることからか、ルノープジョーなどのフランス車が多かったのも特徴的である。

 

↑新市街、タワーマンションなどが建ちはじめてきている。

 

↑パルケ・エンリキージョの近く、今にも壊れそうな家や長屋ぽい家が多い。

 

家でも分かるものであり、世界遺産に登録されている旧市街は手つかずの昔の雰囲気が残るので、ここでは別になるのだが、新市街やその周辺の住宅地を歩くと、真新しいタワーマンションやアパートなどが建設されており、個々の住宅では広い庭や駐車場付の家など「中間層」の生活が伺える。
金持ちの家は見てない、おそらく車でしか行けず、公共交通機関も通ってないエリアにあるだろうから。

 

↑ガタガタな道路

 

↑溢れる水、インフラ整備が追い付いていない状態


そして首都から少し走らせれば、バラック小屋や今にも崩れそうな家々が並ぶエリアに。低所得層が住むエリアは「バリオ」と呼ばれ、カリブ海では「地区」という意味でも使われる。
サントドミンゴならばオサマ川を挟んだ東側、旧市街から橋を渡ったエリア辺りが、低所得層が住むエリアとなる。
なので、コロンブスの墓周辺は治安が悪いとされるので気を付けて。空港周辺にもあるらしいので、警戒は必要だ。
当然、住むのはアフリカ系。ドミニカの格差社会をよく示す絵である。

そういう田舎やスラムの貧困を脱出するために、人々は励んでおり、応援したくなる部分はある。

 

↑英雄ペドロ・マルティネス


一番有名な手段として「野球」や「バスケ」というドミニカの国民的スポーツが挙げられるだろう。野球選手になれば安定した収入を得られるうえ、海外と契約などすればかなりのお金が自分の手元に入ってくる。
カープアカデミーでも貧しい農家出身の選手もいるほど、日本で「野球する」というと当たり前のように感じられるのだが、ここでは「生活するため」ということが加わるので、土俵が違ってくる。
そこから這い上がって一流の選手になったものならば、それはそれは凄いことだ。家族の英雄ではなく、地域の英雄、国の英雄となる。
サミー・ソーサペドロ・マルティネスというのは、彼らからしたら「ヒーロー」だ。サミー・ソーサは地元サンペドロ・デ・マコリスでは一人の英雄として扱われている。

 

◆おわりに

 

街中では子どもたちがキャッチボールをしたり、野球をしたり、バスケをする姿をよく見かけたりする。
将来のMLBNBA選手がそこにはいるのかもしれない。夢を持ち、挑戦する姿はとても感銘を受けてしまう。
ドミニカの田舎には訪れていないし、首都サントドミンゴを満喫しただけではあったが、それだけでもかなりの貧富の差を見ることができた。

まだまだ国のレベルとしてはとても低い。インフラ整備は整っていないし、税金はバカ高いし、格差は残っているし。
国民に悲壮感がない限り、国としては終わっていないのだろうけど、これからのドミニカの将来が気になってしまう。

 

<参考文献>

国本 伊代:『ドミニカ共和国を知るための60章』(2013)、明石書店

 

この本はドミニカ共和国の概要を知るためにはぴったりな本、読みやすい文章なので頭の中に入りやすい。